もうかなり遅い時間、僕はミネソタ州の小さな街のパブでひとりカウンターに座りビールを頼んだ。僕以外には若者が数人バーテンダーと話をしているだけだった。ダーツボードやピンボールの台がいくつかあるが、誰もやっていない。何故こんな時間に見知らぬ日本人が飲みに来たのか訝しげに思っていただろうけど、僕には目もくれなかった。

十分酔いが回るだけビールを飲んで店を出た。街はオレンジ色に包まれていた。広い交差点には車は一台も走ってなく、時折信号が変わるだけだ。角にあるみやげ屋のショーウィンドウに多分どこかの大学のロゴの入ったスウェットが飾ってあって、僕はしばらくそれを眺めていた。明日の朝、もし時間があればここに寄ろう。

宿は街から少し離れたところにあり、僕はとぼとぼと歩いて帰った。途中で用を足したくなって草原に入ったら、小さなぼーっとした光が目の前を横切った。ホタルだった。そうか、アメリカにもホタルはいるんだなと、僕は酔った頭で妙に納得していた。もう20年近く前の話だ。

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